技術情報漏洩と人材流出のリスクを高めないために
多くのシステム開発会社やIT支援会社のWebサイトでは、「導入事例」や「お客様の声」が掲載されています。
どの企業に、どのようなシステムを導入したのか。
どの業務を改善したのか。
どのような技術を使ったのか。
どれくらい効果が出たのか。
こうした情報は、サービス提供側にとっては実績を示す重要な材料になります。
また、検討中のお客様にとっても、導入後のイメージを持ちやすいという利点があります。
しかし当社では、原則として個別企業の導入事例をWebサイト上で公開しません。
理由は明確です。
導入事例の公開は、顧客企業の技術情報漏洩と人材流出のリスクを高める可能性があるからです。
導入事例は、思っている以上に多くの情報を含んでいる
一見すると、導入事例は単なる営業資料のように見えます。
しかし、業務システムに関する導入事例には、企業の内部構造に関わる情報が多く含まれます。
たとえば、次のような情報です。
どの業務に課題があったのか。
どの部署でシステム化を進めたのか。
どのような業務フローを持っているのか。
どの部分を内製化しようとしているのか。
どの外部専門家を活用しているのか。
どのような技術基盤を採用しているのか。
どのような人材が社内にいるのか。
これらは、単独では大きな情報に見えないかもしれません。
しかし、複数の情報が組み合わさると、その企業がどの方向に投資しているのか、どの業務を強化しようとしているのか、どの部分に弱点を感じているのかが見えてしまいます。
これは、顧客企業にとって必ずしも望ましいことではありません。
技術情報の公開は、競合にヒントを与えることがある
業務システムは、単なる道具ではありません。
企業の業務の流れ、管理体制、会計処理、権限構造、意思決定の仕組みと深く関係しています。
そのため、どのようなシステムを導入したかを公開することは、場合によっては競合他社に対して、業務改善や技術投資の方向性を知らせることにもなります。
特に、生成AI、業務会計システム、内製化支援、データベース設計、権限設計、外部専門家との連携体制などは、企業の将来戦略に関わる情報です。
当社は、顧客企業がどのような仕組みを構築しようとしているのかを、安易に外部へ見せるべきではないと考えています。
もちろん、技術情報をすべて隠すべきだという意味ではありません。
公開してよい情報と、顧客企業の競争力に関わる情報は分けて考える必要があります。
当社では、一般論として公開できる設計思想や考え方はブログ記事等で発信します。
一方で、個別企業に関わる具体的な業務構造、導入内容、技術構成、運用体制については、原則として公開しません。
導入事例は、人材流出リスクにもつながる
もう一つ重要なのが、人材流出のリスクです。
導入事例では、しばしば次のような情報が語られます。
社内で誰が中心になってプロジェクトを進めたのか。
どの部署にITに強い担当者がいるのか。
どの社員が業務改善に詳しいのか。
どの担当者が生成AIやシステム設計に関心を持っているのか。
こうした情報は、外部から見れば人材情報でもあります。
中小企業にとって、業務を理解し、会計を理解し、システムにも関心を持つ人材は非常に貴重です。
そのような人材の存在を、Web上で必要以上に目立たせることは、必ずしも顧客企業の利益になりません。
当社が支援した結果、顧客企業の中に優れた人材が育つことは大変望ましいことです。
しかし、その人材が外部から狙われやすくなるような情報発信は慎重に扱うべきだと考えています。
顧客企業の成長戦略そのものを守る
当社が扱うのは、単なるホームページ制作や単発の便利ツールではありません。
業務会計システムの内製化支援。
生成AI時代のシステム設計理解。
外部専門家の活用。
業務構造の整理。
将来の拡張や改修を見据えた仕組みづくり。
これらは、顧客企業の成長戦略そのものに関わります。
だからこそ、当社は「実績として見せたい」という提供側の都合よりも、「顧客企業の情報を守る」ことを優先します。
導入事例を公開すれば、当社の営業上は分かりやすくなるかもしれません。
しかし、そのために顧客企業の技術情報、業務構造、人材情報を外部にさらすリスクを高めるべきではないと考えています。
公開する情報と、守る情報を分ける
当社は、情報を公開しない会社ではありません。
むしろ、生成AI時代の業務システム内製化、設計の重要性、安い開発費に潜むリスク、外部専門家の活用方法などについては、ブログ記事を通じて積極的に発信していきます。
ただし、公開するのは一般化できる考え方です。
個別企業の名前。
具体的な業務フロー。
導入したシステムの詳細。
社内体制。
担当者情報。
技術構成。
改善前の弱点。
改善後の運用体制。
こうした情報は、顧客企業ごとの重要情報として慎重に扱います。
当社は、公開できる情報と守るべき情報を分けることも、これからのIT支援会社に必要な責任だと考えています。
実績は、必要な範囲で個別に説明する
導入事例をWebサイト上で公開しないからといって、実績や支援内容を一切説明しないわけではありません。
必要に応じて、個別面談や講座内で、守秘義務に反しない範囲で説明します。
また、特定企業を識別できないように一般化した形で、考え方や支援方針を共有することはあります。
しかし、誰でも閲覧できるWebサイト上に、顧客企業の具体的な導入事例を掲載することは、原則として行いません。
これは、当社の営業上の弱点ではなく、顧客企業の情報を守るための方針です。
まとめ
導入事例は、サービス提供側にとって分かりやすい営業材料です。
しかし、業務システムや内製化支援の分野では、導入事例の公開が顧客企業の技術情報漏洩や人材流出のリスクを高める可能性があります。
当社は、顧客企業の名前を使って実績を誇るよりも、顧客企業の業務構造、技術戦略、人材情報を守ることを重視します。
公開するのは、一般化できる設計思想や考え方。
守るのは、個別企業の具体的な情報。
この線引きを大切にしながら、中小企業が生成AI時代に安全に業務システム内製化へ進めるよう支援していきます。
当社が導入事例をWebサイトで公開しないのは、実績を隠すためではありません。
顧客企業の未来を守るためです。

