投稿者: Yusaku Numata

  • (6月12日通信)会計とは何か?

    会社の信用を支える記録としての会計

    会計とは何でしょうか。

    多くの人は、会計と聞くと「税金のための処理」「税理士さんに渡す資料」「会計ソフトに入力する作業」を思い浮かべるかもしれません。

    もちろん、それらも会計の大切な役割です。

    しかし、会計の目的は税務処理だけではありません。
    会計とは、会社の中で起きた出来事を、あとから判断できる形で記録する仕組みです。

    商品を仕入れた。
    売上が発生した。
    入金があった。
    給与を支払った。
    設備を購入した。
    借入をした。
    税金を納めた。

    こうした会社の出来事を、数字と言葉で整理し、会社の状態と動きを見えるようにする。
    それが会計の基本的な役割です。

    会計は、立場によって見る目的が変わる

    会計は、見る人の立場によって目的が変わります。

    経営者は、経営判断のために会計を見ます。

    利益は出ているのか。
    資金は足りているのか。
    在庫は増えすぎていないか。
    人件費は適正か。
    新しい設備に投資してよいのか。
    借入を増やしてよいのか。

    投資家は、投資判断のために会計を見ます。

    この会社は成長しているのか。
    利益を生み出す力があるのか。
    将来性はあるのか。
    財務は安定しているのか。

    金融機関は、融資判断のために会計を見ます。

    この会社は返済できるのか。
    資金繰りは安定しているのか。
    利益は継続して出ているのか。
    借入は過大ではないか。

    税務署は、税務処理のために会計を見ます。

    売上は正しく記録されているか。
    経費は適正か。
    税額は正しく計算されているか。

    取引先は、与信判断のために会計を見ることがあります。

    この会社と取引して大丈夫か。
    掛け売りをしてもよいのか。
    長期契約を結んでもよいのか。
    大きな金額の取引を任せてもよいのか。

    同じ会計情報でも、見る人によって関心のある点は違います。

    つまり会計とは、単に会社内部で使う数字ではありません。
    経営者、投資家、金融機関、税務署、取引先など、さまざまな立場の人が会社を判断するための共通言語でもあります。

    会計は、会社を守るためにも使われる

    会計は、経営判断や税務処理のためだけにあるわけではありません。

    会社内部のお金や物が、正しく動いているかを確認するためにも使われます。

    売上が抜けていないか。
    現金が合っているか。
    在庫が帳簿と一致しているか。
    経費が不自然に増えていないか。
    架空請求や横領の兆候がないか。

    この意味で、会計は会社内部の異常を見つける仕組みでもあります。

    会計記録が整っていれば、会社の中で何かおかしな動きがあったときに気づきやすくなります。
    逆に、記録が粗ければ、異常があっても見逃されやすくなります。

    会計とは、会社を管理するためだけでなく、会社を守るための仕組みでもあるのです。

    会計は、未来の計画にも使われる

    会計は過去の記録ですが、過去を見るだけのものではありません。

    来期の売上目標をどうするか。
    人件費はどこまで増やせるか。
    広告費にいくら使えるか。
    設備投資に耐えられるか。
    借入返済は問題ないか。
    資金繰りは安全か。

    こうした未来の計画を立てるためにも、会計情報は使われます。

    予算と実績を比較すれば、経営が予定通り進んでいるのか、どこにズレが出ているのかを確認できます。

    つまり会計とは、過去を記録するだけでなく、未来の判断と計画を支えるものでもあります。

    会計は、価格を決めるためにも使われる

    会計は、商品やサービスの価格を決めるためにも重要です。

    どの商品が利益を出しているのか。
    どのサービスは手間の割に利益が少ないのか。
    材料費や人件費を含めると本当に儲かっているのか。
    売れている商品と、儲かっている商品は一致しているのか。

    売上だけを見ていると、会社は判断を誤ることがあります。

    たくさん売れているように見えても、原価や人件費を含めると利益がほとんど残っていない場合があります。
    逆に、売上規模は小さくても、会社にしっかり利益を残している商品やサービスもあります。

    会計システムが粗いと、会社は「売れているもの」と「儲かっているもの」を取り違えることがあります。

    これは、経営判断にとって非常に大きな問題です。

    会計は、会社を次世代へ渡すためにも必要である

    会計は、事業承継やM&A、企業価値評価にも関わります。

    会社を後継者に引き継ぐ。
    外部から出資を受ける。
    会社を売却する。
    他社と提携する。
    補助金や助成金を申請する。
    許認可や入札に参加する。

    こうした場面でも、会計情報は会社の状態を説明する資料になります。

    会計記録が整っていない会社は、外部から見たときに実態が分かりにくくなります。
    実態が分かりにくい会社は、信用されにくくなります。

    どれだけ良い事業をしていても、数字で説明できなければ、金融機関、取引先、投資家、後継者にとって判断が難しくなります。

    会計を整えることは、会社を次世代へ渡せる形にすることでもあります。

    会計は、経営者の説明責任を支える

    会計は、経営者が自分の判断を説明するためにも使われます。

    なぜ利益が減ったのか。
    なぜ借入が増えたのか。
    なぜ設備投資をしたのか。
    なぜ賞与を増やせないのか。
    なぜこの事業を伸ばすのか。
    なぜこの事業から撤退するのか。

    経営には、判断が必要です。
    そして判断には、説明責任が伴います。

    会計情報があれば、経営判断を感覚論だけでなく、数字と事実に基づいて説明できます。

    会計とは、経営者が会社の状態を説明するための言語でもあります。

    会計ソフトは便利だが、会計そのものではない

    ここで考えたいのが、会計ソフトとの付き合い方です。

    現在は、多くの便利な会計ソフトがあります。
    請求書、経費、銀行口座、クレジットカード、給与、税務申告など、さまざまな機能が用意されています。

    こうした会計ソフトを使うこと自体が悪いわけではありません。
    むしろ、定型的な処理を効率化するためには非常に有効です。

    問題は、会計ソフトに入力しているから会計ができている、と考えてしまうことです。

    会計ソフトは道具です。
    会計そのものではありません。

    会社の中で起きた出来事を、どのような意味で記録するのか。
    その記録を、経営判断、投資判断、融資判断、税務処理、与信判断にどう使うのか。
    内部統制、原価計算、資金繰り、事業承継、説明責任にどうつなげるのか。

    ここを理解しないまま、出来合いの会計ソフトに合わせて会社の出来事を入力しているだけでは、会計の本来の力を十分に活かせません。

    会社の信用を、標準入力だけに預けてよいのか

    会計は、会社の信用を支える記録です。

    金融機関は、その記録を見て融資を判断します。
    取引先は、その記録を通じて会社の安定性を見ます。
    税務署は、その記録をもとに税務処理を確認します。
    投資家や後継者は、その記録から会社の将来性を判断します。
    経営者自身も、その記録を見て次の一手を考えます。

    そう考えると、会計記録は単なる事務作業ではありません。

    会社の信用そのものに関わる情報です。

    もちろん、すべての会社が独自の会計システムを最初から作る必要はありません。
    出来合いの会計ソフトを使いながら、正しく運用する段階もあります。

    しかし、会社が成長し、取引が複雑になり、部門が増え、在庫、原価、資金繰り、与信、内部統制、事業承継まで考えるようになると、単に標準的な入力画面へ合わせるだけでは足りなくなる場面が出てきます。

    本来は、会社の出来事に合わせて会計記録の設計を考えるべきです。
    ところが、会計ソフトの画面に合わせて会社の出来事を押し込んでしまうと、会社が本当に見たい情報が見えにくくなることがあります。

    それは、会社の信用を軽く見ているというより、会計が信用を支えているという事実に気づいていない状態かもしれません。

    会計システムは、会社の頭脳に近い

    会計システムは、単なる入力画面ではありません。

    会社の出来事をどのように記録し、どのように集計し、どのように判断材料として使える形にするか。
    それを支える仕組みです。

    だからこそ、会計システムは会社の頭脳に近い存在だと言えます。

    会社の頭脳を、完全に外部任せにしてよいのでしょうか。
    会社の信用を支える記録を、標準機能に合わせるだけでよいのでしょうか。
    経営者自身が、自社の会計情報が何のために記録され、誰にどう見られるのかを理解しなくてよいのでしょうか。

    これは、単なるシステム選定の問題ではありません。

    会社が自分自身をどう理解し、どう説明し、どう信用を積み上げていくかという問題です。

    専門家を活用しながら、自社の会計を理解する

    会計や税務には専門知識が必要です。
    システム開発にも専門知識が必要です。
    データベース、セキュリティ、インフラ、画面設計にも専門家の力が必要です。

    だから、専門家を活用することは重要です。

    しかし、専門家に任せることと、会社自身が理解しないことは違います。

    税理士に相談する。
    システム開発者に依頼する。
    外部サービスを利用する。
    会計ソフトを使う。

    これらはすべて有効な手段です。

    ただし、その前提として、会社自身が「何を記録したいのか」「何を判断したいのか」「誰に説明したいのか」を理解している必要があります。

    会計とは、税金のためだけに記録するものではありません。

    経営判断のため。
    投資判断のため。
    融資判断のため。
    税務処理のため。
    与信判断のため。
    内部統制のため。
    予算管理のため。
    原価計算と価格決定のため。
    資金繰り管理のため。
    事業承継や企業価値評価のため。
    補助金、助成金、許認可、入札のため。
    そして、経営者が説明責任を果たし、会社の信用を積み上げるため。

    会計は、会社の信用を支える記録です。

    その記録をどう設計し、どう使い、どう説明できるようにするか。
    これからの中小企業には、そこまで含めて会計システムを考える力が求められるのではないでしょうか。

  • (6月11日通信)あなたの会社のDXはどのパターン?

    7つに分類して考える、中小企業のDXの進め方

    DXという言葉を聞く機会が増えました。

    ただ、実際には「DX」と言っても、会社によって取り組んでいる内容はかなり違います。

    紙の書類をPDFにすることをDXと呼ぶ会社もあります。
    クラウド会計ソフトを導入することをDXと呼ぶ会社もあります。
    Excelで管理していた業務をシステム化することをDXと呼ぶ会社もあります。
    さらに進んで、会社の業務構造そのものを見直そうとしている会社もあります。

    どれも間違いではありません。

    ただし、同じDXという言葉でも、
    会社に与える影響の大きさはまったく違います。

    そこで今回は、DXを7つのパターンに分けて考えてみます。

    あなたの会社のDXは、今どの段階にあるでしょうか?


    1/7 道具導入型DX

    一番分かりやすいDXです。

    たとえば、

    紙の書類をPDFにする。
    Excelをクラウドで共有する。
    チャットツールを入れる。
    請求書ソフトを使う。
    勤怠管理システムを導入する。

    このように、これまで紙や手作業で行っていた仕事を、デジタルツールに置き換える取り組みです。

    これは多くの会社が最初に取り組みやすいDXです。

    日々の作業は楽になります。
    情報共有もしやすくなります。
    紙の書類を探す時間も減ります。

    ただし、この段階では、会社の仕事の流れそのものはあまり変わっていないこともあります。

    つまり、
    今までのやり方を、少し便利な道具に置き換えたDX
    とも言えます。

    もちろん、ここから始めるのは悪いことではありません。

    ただ、ここでDXが終わってしまうと、
    「便利なツールは増えたけれど、会社の仕組みはあまり変わっていない」
    という状態になりやすいです。


    2/7 業務改善型DX

    次は、仕事の流れそのものを見直すDXです。

    たとえば、

    二重入力をなくす。
    承認の流れを整理する。
    見積、受注、納品、請求をつなげる。
    顧客情報を一元管理する。
    担当者ごとに違っていた作業手順を整理する。

    この段階では、単にツールを入れるだけではなく、
    仕事の順番や役割分担を見直すことが重要になります。

    中小企業にとって、まず効果が出やすいのはこのあたりです。

    「便利なツールを入れたのに、なぜか仕事が楽にならない」
    という場合は、ツールの問題ではなく、業務の流れが整理されていない可能性があります。

    たとえば、せっかく新しいシステムを入れても、その前後でExcelへの転記作業が残っていたら、効率化の効果は半減します。

    DXで大切なのは、道具そのものではなく、
    その道具によって仕事の流れがどう変わるのか
    です。


    3/7 データ活用型DX

    業務で発生したデータを、経営判断に使うDXです。

    たとえば、

    売上の推移を見る。
    商品別の利益を見る。
    顧客別の取引状況を見る。
    在庫の動きを確認する。
    入金予定や支払予定を見る。
    部署別、店舗別、担当者別の数字を確認する。

    この段階になると、DXは単なる作業効率化ではなくなります。

    経営判断に使える情報を作る取り組みになってきます。

    ただし、ここで注意が必要です。

    あとからグラフや表だけを作っても、元のデータがバラバラだとあまり役に立ちません。

    たとえば、売上データは販売管理ソフトにある。
    入金情報は通帳や会計ソフトにある。
    顧客情報はExcelにある。
    在庫情報は担当者の手元にある。

    このような状態だと、経営判断に使えるデータを作るだけで大変です。

    データ活用をするには、
    普段の業務データが、最初から使いやすい形で記録されていること
    が大切です。


    4/7 業務会計一体型DX

    ここから少し本格的になります。

    会社の業務は、最終的にはお金の流れにつながります。

    売上。
    仕入。
    在庫。
    入金。
    支払。
    請求。
    経費。
    給与。

    これらはすべて、日々の業務で発生する出来事であり、同時に会計にも関係する出来事です。

    ところが実際には、

    業務システムは業務システム。
    会計ソフトは会計ソフト。
    請求書は請求書。
    ExcelはExcel。

    という形で、情報が分かれてしまうことがあります。

    業務会計一体型DXでは、
    業務の出来事とお金の流れを、最初からつなげて考えます。

    これは中小企業にとって、かなり重要です。

    なぜなら、経営で本当に知りたいのは、単に
    「売上がいくらか」
    だけではないからです。

    本当に知りたいのは、

    どの仕事が利益を生んでいるのか。
    どの取引先が会社に貢献しているのか。
    どこでお金が詰まっているのか。
    どの業務に手間がかかりすぎているのか。
    どの部門が次の成長につながっているのか。

    といったことです。

    そのためには、業務と会計を別々に考えるのではなく、
    業務の流れとお金の流れを一体で見られる仕組み
    が必要になります。


    5/7 システム内製化型DX

    内製化型DXと聞くと、
    「すべて自社だけでシステムを作ること」
    と思われるかもしれません。

    しかし、そうではありません。

    中小企業がすべてを自社だけで作るのは、現実的ではない場合も多いです。

    大切なのは、
    会社側が自社の業務を説明できるようになること
    です。

    自社の業務構造を説明できなければ、外部のシステム会社に依頼しても、的確な指示を出すことができません。

    逆に、会社側が最低限の設計思想を理解していれば、外部専門家をうまく使い分けることができます。

    システム会社。
    税理士。
    社労士。
    デザイナー。
    インフラ専門家。
    セキュリティ専門家。

    それぞれの専門家に、目的に応じて適切に依頼できるようになります。

    つまり内製化型DXとは、
    外部専門家を使わないDXではなく、外部専門家を使いこなすためのDX
    です。

    ここを勘違いすると、DXは失敗しやすくなります。

    外注が悪いわけではありません。
    むしろ、専門家の力は必要です。

    ただし、会社側が何も分からないまま丸投げしてしまうと、会社の重要な仕組みを外部に預けきってしまうことになります。

    会社の業務を一番よく知っているのは、その会社自身です。

    だからこそ、会社側にも最低限の設計理解が必要なのです。


    6/7 経営構造変革型DX

    ここまで来ると、DXは単なる業務改善ではありません。

    会社の成長の仕方そのものを変える段階です。

    たとえば、

    少人数で大きな売上を扱える。
    支店展開しやすくなる。
    顧客対応を仕組み化できる。
    社員教育をシステムに組み込める。
    経営者が会社の状態を把握しやすくなる。
    属人的だったノウハウを会社の資産にできる。

    この段階では、システムは単なる道具ではなくなります。

    会社の頭脳であり、神経であり、血流のような存在になります。

    どこで仕事が発生し、
    誰が処理し、
    どこで承認され、
    どの数字に反映され、
    最終的に経営判断につながるのか。

    この流れが整っている会社は、成長しやすくなります。

    逆に、ここが整っていない会社は、人が増えるほど混乱しやすくなります。

    社員が増えたのに利益が増えない。
    売上は伸びたのに資金繰りが苦しい。
    支店を増やしたら管理できなくなった。
    担当者が辞めたら業務が分からなくなった。

    こうした問題は、単なる人手不足ではなく、
    会社の仕組みの問題
    である場合があります。

    DXとは、こうした会社の成長限界を見直すきっかけにもなります。


    7/7 企業間連携型DX

    最後は、少し未来に向けたDXです。

    一社だけで業務アプリを作るのではなく、複数の会社が業務アプリやノウハウを持ち寄り、改良し合う考え方です。

    たとえば、

    ある会社が作った在庫管理の仕組みを、別の会社が自社向けに改良する。
    別の会社が作った請求管理の仕組みを、さらに別の会社が発展させる。
    共通する会計アプリケーションの土台を使いながら、業種ごとに必要な機能を追加していく。

    このように、業務アプリケーションを共有・交換しながら、中小企業全体の生産性を高めていく考え方です。

    もちろん、何でも公開すればよいわけではありません。

    会社には守るべき情報があります。
    業種ごとの事情もあります。
    顧客情報や取引条件を外に出すことはできません。

    しかし、すべてを秘密にするのではなく、共通化できる部分と、各社独自に守る部分を分けることができれば、DXの進め方は大きく変わります。

    一社でゼロから作るよりも、共通する土台を使い、必要な部分を改良していく方が、現実的な場合もあります。

    中小企業のDXは、孤独に進めるものではなく、
    知見を共有しながら進める時代
    に入っていくかもしれません。

    農業の六次産業化への取り組みで主導権を得るためには、情報技術にある程度明るく、構造化したシステムを自社で開発していることが重要になってくるかとおもいます。


    あなたの会社は、どのパターンですか?

    DXは一種類ではありません。

    パターン内容
    道具導入型DX紙や手作業をデジタルに置き換える
    業務改善型DX仕事の流れを整理する
    データ活用型DX業務データを経営判断に使う
    業務会計一体型DX業務とお金の流れをつなげる
    システム内製化型DX自社で業務を説明し、専門家を使いこなす
    経営構造変革型DX会社の成長構造そのものを変える
    企業間連携型DX中小企業同士でアプリや知見を活用し合う

    最初は、道具導入型DXでも構いません。

    紙を減らす。
    Excelを整理する。
    クラウドツールを使う。

    そうした一歩も大切です。

    ただし、そこで終わってしまうと、DXは単なる道具の入れ替えになってしまいます。

    本当に大切なのは、デジタルツールを入れることそのものではありません。

    自社の業務を整理し、
    データを活用し、
    お金の流れとつなげ、
    経営判断に活かせる形へ整えていくことです。

    そして、会社側が自社の業務を説明できるようになれば、外部の専門家をより有効に活用できるようになります。

    DXとは、単なるツール導入ではなく、
    会社の仕事の流れを見えるようにし、経営に活かせる形へ整えていくこと
    ではないでしょうか。


    中小企業のDXは、まず「自社の業務を知ること」から

    DXという言葉だけを見ると、難しく感じるかもしれません。

    しかし、最初に考えるべきことはとてもシンプルです。

    自社では、どのように仕事が発生しているのか。
    誰が何を処理しているのか。
    どの情報がどこに記録されているのか。
    その情報は会計や経営判断につながっているのか。
    外部専門家に依頼するとき、会社側が業務を説明できる状態になっているのか。

    ここを整理するだけでも、DXの方向性はかなり見えてきます。

    生成AIによって、システム開発の入り口は以前よりも広がりました。

    しかし、生成AIがコードを書ける時代だからこそ、
    会社側が何を作りたいのかを整理する力
    がより重要になっています。

    設計がないままツールやAIを使っても、業務の全体像が見えないまま、便利なものがバラバラに増えてしまう可能性があります。

    だからこそ、中小企業のDXでは、いきなり大きなシステムを作る前に、
    まず自社の業務を整理し、業務と会計のつながりを理解することが大切です。


    世間のDX講座では、どこまで語られやすいのか

    ここまでDXを7つのパターンに分けて見てきました。

    では、一般的なDX講座やDX研修では、どのあたりまで語られることが多いのでしょうか。

    もちろん、これは厳密な統計ではありません。
    あくまで当社がDX講座や研修の内容を見てきた中での、傾向としての整理です。

    イメージとしては、次のようになります。

    道具導入型DX   ██████████  約90%
    業務改善型DX   █████████   約80%
    データ活用型DX  ████████    約70%
    経営構造変革型DX ████        約35%
    システム内製化型DX███         約25%
    業務会計一体型DX ██          約20%
    企業間連携型DX  ▌           約 5%

    ※あくまで厳密な統計ではなく、当社が一般的なDX講座・DX研修の内容を見てきた中での傾向としての整理です。

    上の図を見ると、一般的なDX講座では、道具導入型DX、業務改善型DX、データ活用型DXまでは比較的よく語られていることが分かります。

    一方で、業務会計一体型DX、内製化型DX、企業間連携型DXになるほど、扱われる機会は少なくなります。

    しかし、本来これらは別々の話ではありません。

    道具導入型DXが進んでいなければ、業務改善型DXには進みにくい。
    業務改善型DXが進んでいなければ、データ活用型DXには進みにくい。
    データ活用型DXが進んでいなければ、業務会計一体型DXには進みにくい。
    業務会計一体型DXが進んでいなければ、システム内製化型DXや企業間連携型DXにも進みにくい。

    一般的なDX講座では、クラウドツールの導入、業務効率化、データ活用、生成AIの使い方などは比較的よく語られます。

    これらは分かりやすく、すぐに効果を感じやすいテーマです。

    一方で、業務と会計をどうつなげるか。
    会社側が外部専門家をどう使いこなすか。
    自社の業務構造をどのように整理するか。
    中小企業同士で業務アプリや知見をどう活用し合うか。

    こうしたテーマは、一般的なDX講座ではあまり深く扱われないことが多いように感じます。

    もちろん、道具導入型DXや業務改善型DXが悪いわけではありません。

    むしろ、DXの入口としては大切です。

    ただし、中小企業の経営者にとって本当に重要なのは、便利なツールを知ることだけではありません。

    自社の業務構造を理解し、
    お金の流れとつなげ、
    経営判断に活かし、
    必要に応じて外部専門家を使いこなせる状態を作ること。

    ここまで考えて初めて、DXは単なるツール導入ではなく、会社の成長を支える仕組みになっていきます。


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