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  • (6月8日通信)会社の成長限界は、システム設計で決まる時代へ

    資本力だけではなく、業務構造と情報システムが経営者だけでなく社員の未来も左右する

    公開予定日:2027年6月8日

    会社の成長を決めるものは何でしょうか。

    資本力。
    営業力。
    商品力。
    人材。
    ブランド。
    立地。
    経営者の判断力。

    もちろん、これらは今でも重要です。

    しかし、これからの時代において、もう一つ避けて通れない要素があります。

    それが、システム設計です。

    会社が小さいうちは、多少システムが未整理でも業務は回ります。
    Excelで管理する。
    担当者同士で確認する。
    口頭で調整する。
    必要な時だけ外部業者に依頼する。

    それでも、規模が小さいうちは何とかなることがあります。

    しかし、会社が成長し、社員が増え、顧客が増え、取引が増え、部署が分かれ、外部専門家との連携が始まり、上場や経営統合が視野に入ってくると、状況は一変します。

    その時に問われるのは、単に「システムが動いているか」ではありません。

    誰が、どの情報にアクセスできるのか。
    誰が、どの操作を行えるのか。
    承認の責任はどこにあるのか。
    操作履歴は残っているのか。
    監査に耐えられるのか。
    外部から攻撃された時に、被害範囲を限定できるのか。
    他社と経営統合する時に、どちらのシステムを基盤にすべきなのか。

    こうした問いに答えられるかどうかが、会社の成長限界を決める時代になっています。

    上場は、必ずしもハッピーエンドではない

    上場は、多くの企業にとって大きな節目です。
    社会的信用が高まり、資金調達の選択肢が広がり、会社の知名度も上がります。

    しかし、上場はゴールではありません。

    上場すれば、会社はより多くの人から見られる存在になります。
    株主、監査法人、取引先、金融機関、従業員、顧客、そして悪意ある攻撃者。

    会社の情報資産の価値が高まれば、それを狙う人も増えます。

    その段階で、システムの権限管理が甘い。
    業務フローが整理されていない。
    誰が何を操作できるのか説明できない。
    外部ベンダーに聞かなければ自社システムの構造が分からない。

    このような状態では、上場後の運営は決して楽ではありません。

    毎月、気分が悪くなるような金額の保守費、改修費、監査対応費、セキュリティ対応費を受け入れざるを得なくなる可能性があります。

    しかも、その請求を断れない。
    なぜなら、システムを止められないからです。
    社内に構造を説明できる人がいないからです。
    他社へ乗り換えるには、リスクと費用が大きすぎるからです。

    上場はハッピーエンドではありません。
    システムの主導権を持たないまま上場すると、会社の神経系を外部に握られたまま成長することになります。

    ベンダーロックインは、突然始まるものではない

    ベンダーロックインは、ある日突然始まるものではありません。

    最初は、便利だから依頼する。
    自社では分からないから任せる。
    安く早く作りたいから、なるべく一つの仕組みにまとめる。
    設計の意味が分からないまま、見積もりだけを見て判断する。

    その積み重ねの先に、気がつくと自社では動かせないシステムができあがっています。

    もちろん、外部のシステム開発企業やシステムインテグレーターが不要だという話ではありません。

    大規模なインフラ構築、セキュリティ対策、クラウド設計、データ移行、監査対応、専門的な開発には、外部専門家の力が必要です。

    問題は、外部専門家を使うことではありません。

    問題は、会社の業務構造、権限設計、データ設計、成長戦略まで外部に握られてしまうことです。

    外部専門家は使う。
    しかし、会社の頭脳にあたる設計判断は、自社側が理解して主導する。

    この違いが、将来の成長限界を大きく変えます。

    経営統合では、システムの強い会社が主導権を握る可能性がある

    経営統合というと、一般的には資本力の大きい会社、売上規模の大きい会社、社員数の多い会社が主導権を握ると思われがちです。

    もちろん、資本力は重要です。
    しかし、経営統合後に実際に動かすのは業務システムです。

    顧客管理。
    受発注。
    在庫。
    会計。
    請求。
    入金。
    人事。
    権限管理。
    承認フロー。
    監査ログ。

    これらをどちらのシステムに統合するのか。

    規模の大きい会社のシステムであっても、権限管理が甘く、責任範囲が混ざり、監査対応が弱いのであれば、統合後の基盤としては危険です。

    一方で、規模が小さい会社でも、セキュリティ上のアンチパターンを避け、権限や責任範囲が整理され、将来の統合や分社化に耐える設計になっていれば、そのシステムが統合後の基盤として選ばれる可能性があります。

    つまり、システム設計は経営統合時の主導権にも関わります。

    資本力は会社を買う力です。
    しかし、統合後の業務を安全に動かす力は、システム設計に宿ります。

    システムは、社員の生活水準にも影響する

    システム設計は、経営者だけの問題ではありません。
    社員の働き方、待遇、将来のポジションにも影響します。

    会社が成長した時、あるいは経営統合が起きた時、管理部門は再編対象になりやすい部門です。

    経理、人事、総務、情報システム、営業管理、在庫管理、請求管理。

    その時、自社のシステムが統合後も残るのであれば、そのシステムを理解している社員は重要な存在になります。

    この処理はなぜこうなっているのか。
    この権限は誰に与えるべきなのか。
    この業務フローはどの部署が担当するのか。
    統合先の業務をどこに組み込むのか。
    監査法人や外部専門家にどう説明するのか。

    こうしたことを説明できる社員は、単なる事務担当ではなく、統合後の業務運用を支える中核人材になります。

    上場企業だから高い給与を払えるのではありません。
    高い生産性を支える業務構造とシステムを持つ企業が、結果として高い給与を支払えるのです。

    システムを外部に握られ、高額な請求を受け入れ続ける会社と、システムを自社の経営基盤として改善できる会社では、社員に還元できる利益も変わります。

    システムは、社員の生活水準にも影響します。

    内製化とは、すべてを自社で作ることではない

    私たちが考える内製化は、すべてのシステムを自社だけで作ることではありません。

    税理士、社会保険労務士、データベース専門家、インフラ担当、セキュリティ専門家、外部エンジニア、デザイナー。

    専門家を活用すべき場面は数多くあります。

    重要なのは、外部専門家を使わないことではありません。
    外部専門家を乗りこなせる状態になることです。

    自社の業務構造を説明できる。
    権限と責任範囲を説明できる。
    どこを自社で理解し、どこを外部に任せるべきか判断できる。
    生成AIが作ったコードを、動いたからという理由だけで本体に組み込まない。
    なぜその設計にするのかを、経営者と担当者が理解している。

    これが、これからの内製化です。

    会社の成長を止めないために

    会社が成長するかどうかは、最初から分かるものではありません。

    上場するかどうか。
    経営統合するかどうか。
    多店舗展開するかどうか。
    フランチャイズ展開するかどうか。
    事業承継やM&Aが起きるかどうか。

    それらは、成長した後に見えてくる選択肢です。

    しかし、将来どの道を通るか分からないからといって、最初から壁を作ってしまう必要はありません。

    小さく始める。
    しかし、将来分けられる構造にしておく。
    今は単純でも、権限と責任範囲を混ぜない。
    今は小規模でも、監査や統合に耐える説明可能性を残しておく。

    これは過剰投資ではありません。
    将来の選択肢を潰さないための設計です。

    私たちは、システムを単なる業務効率化の道具とは考えていません。

    システムは、会社の成長余地を広げるものです。
    経営統合時の主導権を守るものです。
    社員の働き方と生活水準にも影響するものです。
    そして、外部専門家を正しく活用するための経営基盤です。

    法人化にあたり、私たちは中小企業が自社の業務構造とシステム設計を理解し、生成AIと外部専門家を正しく活用できる社会を目指します。

    会社の成長限界は、資本力だけで決まる時代ではありません。

    これからは、システム設計を理解している会社が、より自由に成長できる時代です。

  • (6月7日通信)システム開発の内製化は「スピードとコスト」だけで語ってよいのか

    先日、システム開発の内製化について解説された動画を視聴しました。

    参考動画:
    Why is in-house system development necessary now …
    https://www.youtube.com/watch?v=xcwL6vudJRo

    動画では、これからの企業にとってシステム開発の内製化が重要であることが語られていました。
    その方向性自体には、当社も大きく賛成です。

    外部にすべてを任せていると、業務改善のスピードが落ちます。
    小さな修正にも時間と費用がかかり、現場の変化にすぐ対応できません。
    その意味で、社内でシステムを改善できる力を持つことは、これからの中小企業にとって非常に重要です。

    ただし、当社としては、そこだけで内製化を語るのは少し危ういと考えています。

    動画の印象としては、内製化の必要性を「スピード」と「コスト」の面から説明し、その解決策としてローコードやノーコードの活用も有効である、という方向に話が進んでいるように感じました。

    もちろん、ローコードやノーコードが悪いわけではありません。
    簡易的な業務改善、社内アンケート、集計補助、ちょっとした管理ツールなどであれば、有効に使える場面は多くあります。

    しかし、会社の基幹業務、会計、在庫、販売、顧客管理、権限管理、承認フローに関わるシステムまで、単に「早く安く作れるから」という理由で扱ってよいのでしょうか。

    当社の答えは、明確に「慎重であるべき」です。

    システムは会社の頭脳である

    当社は、業務システムや会計システムを、単なる便利ツールとは考えていません。

    システムは会社の頭脳です。

    会社のシステムには、次のような情報が組み込まれています。

    誰が何を承認するのか。
    どの業務をどの順番で処理するのか。
    どのデータを経営判断に使うのか。
    売上、仕入、在庫、入金、支払、会計処理がどのようにつながっているのか。
    どの情報を誰が見てよいのか。
    どこから先は責任者の判断が必要なのか。

    これらは、会社の認知、記憶、判断、反射神経にあたる部分です。

    つまり、システムを理解していない経営者は、会社の頭脳の構造を理解していない状態に近いのです。

    この状態で「システムは外部に任せています」「ローコードで現場が作っています」「担当者に聞かないと分かりません」となっているなら、それは経営者が会社の判断構造を自分で説明できないということです。

    これは非常に危険です。

    内製化とは、社員が勝手にツールを作ることではない

    当社が考える内製化は、社員が自由にローコードツールや生成AIを使って、思いつきでアプリを量産することではありません。

    むしろ、それは危険な内製化です。

    設計のないまま業務アプリが増えると、同じ意味のデータが複数箇所に分散します。
    どの情報が正しいのか分からなくなります。
    部署ごとに似たようなツールが作られ、やがて会社全体のデータ構造が蜘蛛の巣のようになります。

    最初は便利に見えても、後から会計、在庫、顧客情報、権限管理とつなごうとしたときに、収拾がつかなくなる可能性があります。

    生成AI時代には、この危険性はさらに高まります。

    なぜなら、生成AIは非常に速くコードを書けるからです。
    しかし、設計が曖昧なまま生成AIを使うと、間違った構造のコードも非常に速く増えてしまいます。

    「動くもの」は作れます。
    しかし、「会社の将来に耐える構造」になっているとは限りません。

    経営者が全体像を把握することが本質である

    当社が考える内製化の本質は、開発作業をすべて社内で行うことではありません。

    本質は、経営者が自社の業務構造、会計構造、データ構造、権限構造を説明できる状態を作ることです。

    プログラムを書く部分は、外部の専門家に依頼してもかまいません。
    インフラ、セキュリティ、フロントエンド、データベース、法務、税務など、高度な専門領域は外部のプロを使うべきです。

    しかし、何を作るのか。
    なぜ作るのか。
    どの業務をどのデータとして残すのか。
    どの会計処理につながるのか。
    どの権限で誰が操作するのか。
    将来、どの方向に拡張するのか。

    これを外部に丸投げしてはいけません。

    ここを経営者が握っていなければ、会社は自分で判断しているように見えて、実際には既存システムや外部ベンダーの都合に判断を誘導されてしまいます。

    言い換えれば、会社の頭脳を他者に預けたまま、自分ではその思考回路を説明できない状態です。

    人材の維持と育成を忘れてはいけない

    内製化を語るとき、スピードやコストはよく語られます。

    しかし、当社はもう一つ重要な論点があると考えています。

    それは、人材の維持と育成です。

    システムを完全に外部任せにすると、社内に業務知識とシステム知識をつなぐ人材が育ちません。
    逆に、現場任せでローコードツールだけを広げても、属人化した小さなツールが増えるだけで、会社全体の設計知は蓄積されにくくなります。

    必要なのは、業務を理解し、会計を理解し、システムの構造もある程度説明できる人材です。

    中小企業にとって、そのような人材は非常に貴重です。
    そして、その人材は一朝一夕には育ちません。

    だからこそ、内製化支援は単なるツール導入ではなく、会社の中に「業務を構造として理解する人材」を育てる取り組みでなければなりません。

    ローコードは入口であって、基幹システムの設計そのものではない

    ローコードやノーコードは、現場の課題を見える化する入口としては有効です。

    社員が自分たちの業務を整理し、試作品を作り、何が必要なのかを考えるきっかけになります。

    しかし、会社の中核に関わる業務システムや会計システムは、最終的には設計された構造として整理する必要があります。

    当社は、重要な業務システムについては、PythonやDjangoのようなコードとして構造化できる技術を重視しています。

    なぜなら、コードには設計意図を残せるからです。
    データモデル、業務フロー、権限、会計処理、コメント、辞書、命名規則を通じて、会社の考え方を構造として残すことができます。

    これは、単なる画面作成ツールでは得にくい価値です。

    当社が考える内製化支援

    当社の内製化支援は、単に「システムを安く早く作りましょう」というものではありません。

    当社が目指すのは、経営者が自社のシステム構造を理解し、外部専門家を正しく使い、社内に設計知を残せる状態を作ることです。

    そのために、次のような考え方を重視します。

    業務を画面ではなく、データ構造として見ること。
    会計処理と業務イベントを切り離さずに考えること。
    権限と責任の所在を明確にすること。
    外部専門家に任せる部分と、社内で握る部分を分けること。
    生成AIが読み取れる形で、設計意図をコードや文書に残すこと。
    経営者自身が、会社のシステム全体像を説明できるようにすること。

    内製化とは、社員が何でも作れるようになることではありません。
    経営者が、会社の頭脳であるシステムの構造を理解し、会社の主導権を取り戻すことです。

    まとめ

    システム開発の内製化は、これからの中小企業にとって重要なテーマです。

    ただし、それをスピードとコストだけで語ると、ローコードやノーコードを導入すればよい、という話に流れやすくなります。

    当社は、そこに強い危機感を持っています。

    本当に重要なのは、経営者が会社の業務、会計、データ、権限、システムの全体像を理解することです。

    システムは会社の頭脳です。
    その頭脳の構造を経営者が説明できない会社は、自分で経営しているように見えて、実際には既存システムや外部依存に判断を縛られている可能性があります。

    だからこそ、当社は内製化を単なる開発手法ではなく、経営の主導権を取り戻すための取り組みとして位置づけています。

    参考リンク:

    動画:Why is in-house system development necessary now …
    https://www.youtube.com/watch?v=xcwL6vudJRo

    経済産業省:DXレポート サマリー
    https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/20180907_01.pdf

    経済産業省:DXレポート 本文
    https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/20180907_03.pdf

    参考記事:DXの内製化は必要?重要視される理由からメリット・課題
    https://www.nomura-system.co.jp/contents/dx-inhouse/

    参考記事:ユーザー企業がシステム内製化を進めるべき業務とは?
    https://www.linpress.co.jp/blog/33

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